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眠りの森 あとがき

ひとりごと。。

ある調査機関の調べによると、全国の児童虐待件数は、
年々増加しているそうです。

でもおそらく、
この件数は氷山の一角に過ぎないことでしょう。

国や地方の自治体も、相談窓口や支援センターなど、
様々な対策を講じてくれていますが、
家庭という閉鎖された枠内で起こることだけに、
行政の目はなかなか届かないのが現状だと思います。

最近、連日のように、各種報道機関を通じ、
こういったニュースを見聞きすることが、多くなった気がします。

躾と称した児童への虐待。
子を持つ親として、本当に胸が痛くなります。

直接的な暴力や言葉の暴力では、何も生み出す事はできず、
負の連鎖を続けてしまうものだと思います。


以前、某TV局の番組で、
児童虐待をテーマにしたのフリートークを見ました。
その中で児童側の発言に、

『どんなに殴られても、どんなに存在を否定されても、
 それでも大好きな親なんです。』

という言葉がありました。しかし、親側の発言には、

『親である前に一人の人間なんだ。』

という言葉もありました。

どちらが正しくて、どちらが間違ってるという事ではなく、
両者の間に凄く大きく厚い壁があるように感じます。

もしもこの大きく厚い壁にある、
小さな窓を見つけることができたなら、
お互いの心をほんの少しでも、
感じることができるのかも知れませんね。

子供は親の目線まで上がる事はできません。
だからこそ、親が子供の目線まで下がってあげることが、
必要なのだと思います。

そんなことを思い、今回この作品を書かせて頂きました。

不快に思う文面もあったかと思われますが、
この場を借りて、深くお詫び申し上げます。

最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。。。

                  ~ よあけの道 ~
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

眠りの森 第14話

眠りの森 第14話 ~ 眠りの森 ~


桜並木


桜並木が美しい彩りを見せる頃。
とある街のとある企業に、情報管理部が開設された。

主な仕事は、顧客情報の管理、商品の受発注。
これらのシステムをプログラム化させていく作業。

4月某日、情報管理部の開設式が執り行われた。

社長の言葉をはじめ、管理責任者から部の説明がされ、
式は厳かに幕を閉じる。

このあと、部のメンバーが職場に集合すると、
部長から全員簡単な自己紹介をするように言われ、
明るい雰囲気の中、各々が順番に挨拶をしていく。

『じゃあ、最後はキミ、元気に頼むよ♪』

部長の言葉に、最後の一人に全員の視線が集められる。
男は痩身で色白、銀縁の眼鏡を掛け、真面目そうな印象を受ける。

『はじめまして。岩井寿と申します。
 以前は○○株式会社の情報室で働いてました。
 皆さん、宜しくお願いします。』


そして全員の挨拶が終わると、各自デスクに付き、
配布してある資料に、目を通すに指示が出された。

デスクには配布資料と、真新しいパソコンが設置してあり、
電源の入れていないモニターには、自分の顔が写って見える。

部長は職場内を巡回し、それぞれに声をかけて廻った。

『おっ、岩井君、いい時計してるじゃないか。』

そう言いながら、左肩をポンと叩くと、

『コレですか?
 コレ、去年他界した兄の宝物だったんですよ。』


カチャっと外して見せた腕時計には、
【 I.YUTAKA 】と文字が刻まれていた。

『そうかぁ。キミが大切に使ってあげれば、
 お兄さんもきっと、天国で喜んでると思うよ。』


っと部長は励ますように言葉をかけ、自分の席へと戻っていった。



ポカポカと暖かい春の陽射しの入る窓際の席。
誰にも聞こえない程の小さな声で、男はボソボソと呟いた。

『敦司くん、ありがとう。


 でもね・・・


 子供の頃に眠ったまま、


 ひぃくんはずっと・・・森の中にいるんだ。』




モニターに写っている男の顔は、
氷のように冷たい薄笑みを浮かべていた。。。


                       ~ END ~

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眠りの森 第13話

眠りの森 第13話 ~ 存在する意味 ~


路地裏


ピピピッ ピピピッ ピピピッ・・・

敦司は目覚ましの音に起こされた。

『はぁぁ・・・嫌な夢だった・・・』

ボソッと呟きながら起き上がると、
寝汗でベタついた体をシャワーで洗い流し、出勤の準備を始めた。

いつものように鏡の前で着替えていると、
遠くの方から段々と、蝉の鳴く声が近付いてくる。

ジジジジジジジジ・・・・

蝉の鳴く声は、敦司の中で激しく木霊している。

『もういい!!
 解ったから・・・もういいよ。』


鏡に写る自分に向かってそう叫ぶと、蝉の声はピタリと止まった。

『初めから、気付いてたんだ・・・
 とおるも、日明も、本当は存在しないこと。。』


敦司はガクリと膝を落とし、俯いたまま話し続ける。

『辛い現実から逃げたいときに現れる存在・・・
 君の心を守る為の存在・・・
 この僕も・・・
 そうなんだろ・・・ひぃくん。。』


そう言うと敦司は立ち上がり、
机の引き出しから一通の封筒を取り出した。


        退職願
私事、
一身上の都合により、来る平成22年3月31日をもち、
退職いたしたく、ここにお願い申しあげます。

                平成22年2月26日
                情報管理部  岩井 寿



敦司は空欄になっていた日付を書き足し、封筒を閉じた。

『僕の役割りは、君がこれを出す決心がつくまで、
 不要な存在だということを、受け入れられるまで、
 無力感から君を守ること・・・』


この日、敦司は退職願を提出し、荷物をまとめて退社した。

オフィス街を抜け、細く狭い路地に立ち並ぶ古びた街並み。
路上にあるポリ容器の端に腰を掛け、ボソっと一言だけ呟いた。

『僕の役目は終わったよ・・・ひぃくん。。』



そしてその夜、敦司は深い深い眠りについた。

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眠りの森 第12話

眠りの森 第12話 ~ 部 屋 ~


room.jpg



冬がやってきた。

寒い寒い冬。

たった一つしかない小さな窓が、
凍って開かなくなっちゃった。

ガラスの向こうは真っ白で、
深い深い霧が覆う世界。


ひぃくんは、見ることをやめたんだ。

ひぃくんは、聞くことをやめたんだ。

ひぃくんは、話すことをやめたんだ。


あの日、
ひぃくんが、真っ赤な涙を流した日。

ボクの部屋に、ひぃくんがきてくれた日。



大好きなひぃくん。


誰もこない、
誰も知らないこの部屋で、
ずっとずっと、眠っててもいいよ。。。




そして日明は、深い深い眠りについた。

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眠りの森 第11話

眠りの森 第11話 ~ 闇へ ~

森と雪


幸い日明の傷は浅く、出血は直に治まった。
兄はいつものように、自分の部屋へと引き篭もる。

それから数時間が経ち、時計の針が0時を過ぎた頃、
仕事を終えた母が帰宅した。
仕事のストレスからか、苛立った様子の母。

『お帰りなさい。お兄ちゃんに・・・』

そう言い掛けた時、思いもよらぬ言葉が、
母の口から言い放たれた。

『あんたが何かやったんでしょ!
 そんなこと、いちいち言わないで!!』


その言葉は、日明の胸へと突き刺さった。

家族という枠が正常に機能していない家庭では、
日常生活で受けたストレスは、自分よりも立場の弱い者に向けられ、
その家庭内で最も立場の弱い者は、外部の者へ向けるか、
自分自身で受け止めるしかなくなってしまう傾向にある。

高校を中退し、働くことなく引き篭もりがちになっている兄と、
まだ幼かった子供達を、女手一つで育て続けている母。
日明を取り巻く環境もまた、その例外ではなかった。

『ごめんなさい。もう、何も言いません。。』

聞き取れない程の小さな声で、ボソっと呟き、
日明は自分のベッドへ潜り込むと、そのまま眠りについた。


真っ白な雪に覆われた、深い深い森の中。
降り積もった雪の上には、自分の足跡だけが続いている。

見るもの全てが真っ白で、降り続く雪に、
全ての音が掻き消された静寂な世界。

薄らいでゆく意識の中で、微かに見える小さな窓。
その中にいる少年に導かれ、日明は中へと入る。

暗い暗い部屋の中はとても暖かく、
黒い闇は日明を優しく抱きしめた。。

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