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生きること (後編)

次の日、僕は具合が悪いと嘘をついて、ドライブには行かなかった。
それでもパパは出かけていった。
きっと、あの女の人の所に行ったのだと思った。

はぁ・・・
何もしたくない。
何もする気になれない。

僕はだた布団に寝転んだまま、天井を眺めていた。

暫くすると車の音が聞こえ、パパが帰ってきた。
パパと誰かが話す声。
またあの女の人を連れてきたのだと思った。

トントン

部屋をノックする音がしたので、僕は急いで寝たふりをした。

『涼、入るぞ。』

パパと女の人が入ってきた。

『涼くん、寝てるみたいですね。』

女の人の声が聞こえた。

『何度も足を運ばせて、申し訳ありません。
 二人のときは話をしてくれるのですが、それ以外は・・・』


(そんなことない!ママとだって話してるよ!!)

『明日で1年になりますし、そろそろ受け入れて、
 元気に学校へも行って欲しいのですが・・・
 これじゃ、死んだ妻に顔向けができませんよ。』


(えっ・・・・・・・・)

『水沢さん、焦ることないですよ。
 きっと元気な涼くんに戻ってくれます。』


『先生・・・ありがとうございます。』


僕は忘れていた。
ううん、認めたくなかっただけなんだ。

パパ、ママ、心配かけてごめんね。

僕は・・・

もう前に進まなくちゃいけないんだ!!


次の日、僕はお墓参りに連れて行ってもらった。

ママのお墓の前で、明日から学校へ行くことを、
前みたく元気に暮らしていくことを約束した。

『お父さん!今日は何か食べて帰ろう!!』

初めてお父さんと呼んだ日は、ママの・・・
お母さんの命日。

その夜に見たお母さんの遺影は、にっこりと笑っていた。


~ fin ~
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

生きること (前編)

【 生きること 】


寒い寒い冬のある日。

『涼、ただいま!』

パパが知らない女の人と帰ってきた。

『君が涼くん?こんばんわ。』

僕は走って自分の部屋に逃げ込んだ。
ママがいない日にパパが女の人と・・・
それがどういうことなのか、小5にもなれば意味くらいわかる。

『涼!一緒にご飯食べよう。』

パパの声は聞こえていたけど、僕は布団に潜って部屋から出なかった。


暫くし、玄関の閉まる音で僕は目が覚めた。
いつの間にか眠っちゃってた。

僕はソーっとドアを開け、音を立てないようにキッチンへと向かう。
お腹も空いたし、ママが帰っているかもしれないから。

ガチャ。

『あ、ママ!』

キッチンにはママがいた。テーブルには夕食の準備もしてあった。
僕はそれを食べながら、さっきのことをママに話したんだ。
するとそこへパパが帰ってきた。

『なんだ涼、あいさつくらいしたって・・・』

『さっきのことママに言っちゃったからね!』

僕はパパの言葉を遮るように言ってやった。

『おいおい、変なこと言うなよ。』

ちょっと焦った感じでパパが言う。
ママは悲しそうな顔をしていた。


次の日も、また次の日も、パパはその女の人を連れてきた。

どうして?
ママがいるのに・・・

ママは何も言わず、悲しそうな顔をしていた。

なんで・・・なんで何も言わないの?


そんな日が暫く続いたある日、

『明日は会社が休みだし、ドライブに行こう!』

とパパが言い出した。
なんか久しぶりな気がする。

『ママも一緒だよね!』

僕がそう言うと、パパはため息をつきながら答えた。

『はぁ・・・またママか・・・』

なんでそんなこと言うの?
ママがかわいそうだよ・・・

ママは悲しそうな顔で、僕を見ていた。

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