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開かずの踏切 (第五話)

開かずの踏切 (第五話)


踏切3


数時間後、
空が薄っすらと明るくなり始めた頃、祐一は目を覚ました。
全ての出来事が夢だったかのように、辺りは静けさを取り戻していた。

まだぼんやりとしている祐一の前には、
踏切事故の注意を促す立て看板と、横たわる沙耶の姿があった。

『沙耶・・・無事だったんだね。。』

祐一は少しフラつきながらも、立ち上がろうとしたとき、
後ろから何かに、服の裾を引っ張られた。

ヨロヨロとよろけながらも、後ろを振り返って見ると、
そこには血まみれの女の子が、服の裾を掴んで立っている。

そしてその女の子は、祐一に話しかけてきた。

『お兄ちゃん、もう一緒に向こう行こうよ?
 今日来たお友達も待ってるよ。』

そう言いながら女の子が指差した方向へ視線を向けると、
踏み切りの向こう側で、義春が立ってこっちを見ていた。

『よ、義春!!』

驚いている祐一の様子を見ながら、義春が携帯を耳に当てると、
祐一の携帯から着信音が鳴り出した。

【 Call 義春 】

モニターに映る文字を見た祐一は、戸惑いながらも電話に出ると、
聞こえてきたのは、確かに義春の声だった。

『祐一、本当に祐一なんだよな。』

『ああ、お前なんで・・・』

そう言い掛けたとき、祐一は何かを気付いたように、
携帯を耳から離し、その携帯を確認しながら呟いた。

『確かにオレの携帯・・・でも寮で投げ出して・・・
 何でオレ持ってるんだ?』

困惑している祐一に、義春は落ち着いた口調で話し始めた。

『祐一、沙耶が言ってたんだ。
 お前が踏切事故で死んでからも、
 ずっとあのファミレスにいるって・・・』

『え?俺が踏切事故で死んだ?』

『だから今日、沙耶と確かめに行ったんだ。
 でも祐一を見られるのは、沙耶だけだし、
 信じられなくて、ケンカになって・・・』

祐一は信じられないという表情で、呆然と聞いていたが、
義春の話を聞くにつれ、徐々にその時のことを思い出していた。

『俺、確かあの日、バイトに遅れそうで遮断機を潜って・・・』
『次に気付いた時は・・・そうだ、女の子が立ってた!!』

『祐一、俺もそうだった。』
『沙耶を追って、遮断機を潜って・・・』
『その子は、死んでる事に気付いていない俺たちに、
 そのことを教えようとしてくれてたんだ。』

祐一は視線を落とし、女の子の方を見ると、

『一緒にいこう♪』

と、にっこり微笑みながら、手を繋いできた。
祐一はコクリと頷くと、携帯でメールを送信し、
義春と供に、鳴り響く踏切の中へと消えていった。


ガタンゴトン ガタンゴトン・・・・・・

始発電車の走る音で、沙耶は目を覚ました。
その手に握られている携帯には、一通のメールが届いていた。


From 祐一
To 沙耶

ありがとう。

それと

さようなら。。



沙耶はその場に座り込んだまま、携帯を見詰め涙を流していた。。


                ~ END ~
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開かずの踏切 (第四話)

開かずの踏切 (第四話)


踏切2


ジメジメと重苦しい空気に苛立ちながらも、
もう一度、沙耶の携帯へ電話を掛けてみたが、
やはり電話にはでなかった。

『ハァ・・・沙耶も出ない。』

っと溜息混じりに呟き、携帯を閉じたその時、
沙耶からのメールが届き、そのメールには、
義春が撮ったファミレスの写メだけが添付されていた。

『はぁ?何?どういうこと?』

困惑している祐一に、更に追い討ちを掛けるように、
今度は携帯の着信音が鳴り響く。

【 Call 沙耶 】

『なんだ?訳わかんねぇ!!』

そう言いながら、祐一は急いで通話ボタンと押し電話に出ると、
踏切の音が聞こえてきた。。

『もしもし?沙耶?聞こえてる?沙耶!!』

祐一は一旦携帯を耳元から離し、
沙耶からの着信であることを確認しようと、
モニターを見た瞬間、思わず携帯を投げ出した。

『な、何なんだよ!!』

床に落ちた携帯からは、尚も踏切の音がなり続け、
モニターには、義春の撮った写メと、その中央に立つ、
血まみれの女の子が映し出されていた。

祐一は恐怖のあまり寮を飛び出し、闇雲に走った。

ひたすら走り続け、息を切らし立ち止まると、
いつの間にか、開かずの踏切へと辿り着いていた。

『ハァ・・ハァ・・こ、ここは・・・』

ゴクリと生唾を飲み、視線を踏切の方へ向けると、
その中に義春と沙耶の姿が見えた。

『お、お前らそんなとこで何やってんだよ!!』

カンカンカンカンカンカン・・・・・

祐一の言葉を遮るように、踏切の音は鳴り響き、
遮断機が降り始める。

『おい、早くそこから出ろ!』

しかし、義春は抵抗する沙耶を羽交い絞めにし、
踏切から動こうとしない。

ガタンゴトン ガタンゴトン・・・・・・

電車の走る音が徐々に近付き、そこまで来ているのが見え、
祐一は遮断機を越え、踏切の中へ飛び込むと、
二人を引き離し、沙耶を遮断機の外へ押し出した。

『あ、祐一・・・』

義春がようやく祐一に気付いた時、
走り込んできた電車は、二人の立つ踏切を通過した。

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開かずの踏切 (第三話)

開かずの踏切 (第三話)


留守


それから数時間が経った深夜、祐一はその日のバイトを終えた。

『ふぅ、今日はいつも以上に疲れたなぁ。。』

独り言を呟きながら、学生寮に向かいトボトボと歩いていると、
深夜にも関わらず、開かずの踏切周辺に人だかりができていた。

(また事故かな?)

見物している人々の微かな話し声が祐一の耳にも届き、
事故にあったのは、20代前半の男性だということが解った。

しかし、バイトを終えたばかりの祐一には、
人だかりを掻き分けてまで見に行く余力もなく、
遠巻きに眺めながら歩いていると、突然携帯が鳴り出した。

一瞬ビクッとし、ポケットから携帯を取り出して見ると、
モニターには【 Call 沙耶 】と表示されている。

(び、びびった~・・・なんつうタイミングだよ。。)

ホッと胸を撫で下ろしながら通話ボタンを押すと、
電話の向こうで、沙耶と誰かが言い争いをしているようだった。

『・・・私、行かない!やだ、どっかいってよ!!』

『さっ、沙耶?!どうした?』

『いや~~~~~っ!!』

『おい、沙耶!!沙耶!!!』

『・・・・・・プツ プープープー』

『・・・切れた。』

祐一は直ぐに折り返し電話をしてみたが、
何度コールしても、沙耶は電話に出なかった。

(義春とケンカでもしてんのか?)

不安に苛立ちながら、今度は義春に電話をかけてみた。

『プルルルル・・・プルルルル・・・』

(こっちも・・・やっぱしケンカかな。)

祐一は電話を諦め、学生寮へ急いで帰った。
階段を昇ってすぐの201号室が義春の部屋、
その隣の202号室が祐一の部屋。

自分の部屋へ入ると、咽返るような熱気に襲われ、
祐一はすぐさま窓へ駆け寄り、外の空気を大きく吸い込んだ。

ふと隣を見ると、義春の部屋の窓は閉まっている。

『あれ?さっきの電話、
 義春の部屋からじゃなかったのか?』

妙な胸騒ぎを感じた祐一は、義春の部屋側の壁に耳を押し当て、
静かに耳を澄まし、聞き耳を立ててみた。

しかし、義春の部屋からは物音一つ聞こえず、
人がいる気配すら感じない。

今度は壁に耳を当てたまま、義春の携帯に電話を掛けてみたが、
いくらコールしても、着信音は聞こえてこなかった。

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開かずの踏切 (第二話)

開かずの踏切 (第二話)


ファミレス


ある日の夜、同じ大学の学生寮に住む義春が、
彼女の沙耶を連れて、このファミレスへやって来た。

(義春のやつ、冷やかしにきたな。。)

店内に入ってきた義春たちを、窓際の席に案内すると、
沙耶は正反対の奥の席を指挿し、

『向こうの席にして欲しいんだけどダメ?』

っと言うので、祐一は一番奥の席へと案内した。
オーダーを待つ間、他のテーブルの片付けをしていると、

『店員さ~ん!ドリンクバー2つね~っ♪♪』

店内に義春の声が響き渡る。

(くぅぅ・・・義春のやつ・・・)

明らかに面白がっている義春に対し、
沙耶は祐一と窓際の席をチラチラと横目にしながら、
小さな声で何かを言っていた。

『お客様、店内ではお静かにお願いします!』

祐一は義春の悪ふざけを一喝すると同時に、
沙耶には何を呟いているのかを聞いてみた。

『沙耶ちゃん?さっきからどうした?
 向こうの席に何かあるの?』

すると沙耶は、

『あの女の子、待ってるんだって・・・
 お兄さんが来てくれるのを、ずっと待ってるって・・・』

っと、俯きながら声を細めて言いだした時、

『ハァ・・・またかよ。。
 お前いつもそんなこと言ってるよな!!』

っと、沙耶の話を遮るように、義春は強い口調で言い放ち、
携帯のカメラで窓際の席を撮影した。

『ほら、見てみろよ!何にも写ってないだろ!!』

そう言いながら撮影した画像を表示させ、二人の前に突き出した。

祐一は恐る恐る画像を見ると、確かに何も変わった様子はなく、
誰も座っていない窓際の席だけが写っていた。

『沙耶ちゃん、気のせいじゃない?
 変なものは何も写ってないよ?』

祐一はできるだけ穏やかに声をかけたが、
沙耶は画像をみることもなく、店を飛び出していってしまった。

『なんだアイツ!!』

呆れた様子で言う義春に、

『写メはやりすぎだろう。後で謝っとけよ。』

っと言い残し、祐一が自分の持ち場へと戻ると、
義春は面倒くさそうな表情で店を後にし、沙耶を追いかけていった。

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開かずの踏切 (第一話)

開かずの踏切 (第一話)

踏切1


この春、都内の大学に通い始めた祐一は、
上京して初めての梅雨を迎えていた。

梅雨のない地方出身の祐一は、
このジメジメと湿気を含んだ空気を、
たまらなく不快に感じていた。

新しい生活にも慣れてきた6月、祐一はアルバイトを始めた。
ファミレスの店員とは在り来たりではあるが、
冷暖房を完備していないボロ学生寮と違い、
客足の少ないファミレスのフロアーは、
祐一にとって最も快適な空間に他ならない。

(それにしても、こんな都心部にあるにも関わらず、
 何故このファミレスは、客が少ないのだろう?)

些か不思議に思った祐一は、
バイト先の先輩に尋ねてみることにした。

すると、その先輩が言うには、
店舗から30m先にある踏切が原因らしい。

そこは通称『開かずの踏切』。

都心部では珍しいことでもないが、
一度閉まったら30分は開かないこの踏切は、
やっと開いたと思ったら、1分も経たずにまた閉まる。

そうなると当然のことながら、車はこの街道を避けて通り、
歩行者は足早に通り過ぎていく。

それに加え今年になって、
既に2件も踏切事故が発生している。
理由はいずれも、踏切が開くのを待てなかった人が、
遮断機の下を潜って渡り始めた時に、電車が入ってきたという。

1時間に1本というローカル線しか知らなかった祐一には、
その事実を、まったくの他人事のようにさえ感じ、
度々遮断機を潜ることもあった。

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