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湖 畔 ~ 後編 ~

湖 畔 ~ 後編 ~


湖畔3


それから一週間が過ぎ、新学期が始まった。
他校の生徒であるKのことなど、クラスのみんなが知るはずもなく、
各々が夏休中の思い出話に花を咲かせている中、
教室の片隅にTの姿が見え、僕は声をかけた。

『おはよ。何か連絡あった?』

『それが・・・
 まだ見つかってないらしいんだ。』

(もう一週間だぜ?見つかってないってなんだよ。。)

『それでさ、始業式が終わったら、
 Kの家に行ってみようと思うんだ。』

というTに、僕も同行させてもうことにした。


放課後、僕たちはKの家へと向かった。
家へ着き、チャイムを鳴らすと、Kの母親と思われる女性が現れ、
僕たちはKの部屋へと通された。

綺麗に整頓されている部屋の様子から、
ご両親はKの生存を信じているのだろうと感じ、
僕は励ます言葉も見つけられずにいた。

『あっ、デジカメ!見せてもらっていいですか?』

Tは机の端に置かれているデジカメを手に取り、
外観をぐるりと見回す。

『これ、俺のデジカメなんです。
 間違えてK君の荷物に入れちゃったみたいで。』

持ち主だけが知る特徴的な傷でもあるのだろう。
Tは電源を入れると、保存されている画像を表示させながら、
自分の物であることを伝えた。

ピピッ、ピピッ・・・

Tが表示された画像を順に送っていくと、
キャンプ当日のデータが表示され始め、
そこには湖に飛び込んでいく、元気なKの姿も写っていた。

画像を見つめ、無言で啜り泣くKの母親に、
僕は胸が苦しくてたまらなくなった。

ピピッ

そしてTが次の画像へ送った瞬間、

『キャーーーーーーッ!!』

っというKの母親の悲鳴と同時に、Tはデジカメを投げ出し、
二人は真っ青になり、ガクガクと震えている。

僕はデジカメを拾い上げ、表示されている画像を見ると、

『・・・・・・・・・・』

デジカメに保存されていた画像には、
水面から伸びた無数の手の中を泳ぐKの姿が写っていた。




後日、Kの両親は詳しい事情を聞きに現地の警察へ行った。
もちろん写真のことも話したようだ。
しかし、警察で聞けたのは、あの湖では水難事故が多いことと、
遺体は殆ど発見されていないとのこと。

帰り際、若手の警官が上司に一言、

『写真は始めてでしたね・・・』

とも漏らしていたらしい。


Kや他の人の遺体は・・・

いや、遺体が見つかってないのなら、
もしかしたら、どこかで生きているのかも・・・


その答えは、20年経った今でも未解決のままである。。
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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

湖 畔 ~ 中編 ~

湖 畔 ~ 中編 ~


湖畔2


Kは元水泳部のキャプテン。
この夏の大会を最後に引退したが、
その泳ぎは素人目にも違いがわかるほど上手かった。

Kに触発されたのか、後輩の2人もその後を追うように、
湖に飛び込んでいった。

水泳部の3人が全裸で泳ぐ姿を、Tは写真に撮りながら一言呟いた。

『ココ、穴場だよなぁ。俺たちしかいないみたいだし。』

確かに僕たち以外、誰もいなかった。

もっとも夏休み中とはいえ、翌週からは2学期が始まる。
宿題の追い込みや、2学期の準備などもあるし、
今頃キャンプに来る人もいないのだろうと思った。

バシャバシャバシャ・・・

『Kさん!!!!』

その叫び声に驚き湖の方を向くと、もがきながら沈んでいくKと、
それを引き上げようとしている後輩2人の姿見える。

僕とTは突然すぎる出来事に、呆然と立ち尽くし、
事態をつかめずにいた。

沈んでしまったKを追い、何度か湖に潜った2人だったが、
首を横に振る様子から、Kの姿を見失ってしまったようだ。

携帯も繋がらない山中。
2人を呼び戻し、僕たちは通話が可能なエリアまで急いだ。

それから15分。
地元の警察が駆けつけた頃、
辺りは不気味なほど、真っ赤な夕日に染まっていた。

パトカーに乗せられた僕たちは、必至に事情を話したが、
Kの名前と連絡先以外は、形式的に聞いるだけのような印象を受けた。

『あとは警察に任せて、君たちはもう帰りなさい。』

Kのことが気がかりではあったが、
自分たちにできることがあるはずもなく、
急いで荷物をまとめ、言われるままに家へと帰るしかなかった。


翌日の昼、僕は携帯の着信音で目を覚ました。

普段は目覚めの悪い僕だが、Kのことが気になって、
深い眠りに入れなかったせいもあり、脳の覚醒は意外と早かった。

『Tか・・・何か連絡あったのか?』

『いや、それが今、Kの家に電話してみたんだけど、
 まだ連絡がきてないようなんだ。』

『そうか・・・』

『それでさぁ、向こうに忘れ物とかしてない?
 俺のデジカメが見あたらなくて・・・』

『かなり焦って荷物まとめたから自信はないけど、
 忘れてきた物はないと思うよ?』

『そか、ありがとう。
 何かあったら、また電話するよ。』

そう言って、Tは電話を切った。


(警察から連絡ないのか・・・
 じゃあまだ見つかってないってことか?)

僕たちの行った湖は、河川との繋がりのないカルデラ湖。
下流に流されてしまうことはないはず。
それなのに何故見つからないのだろう?

そもそも何でKは溺れたんだ?
あれだけ泳ぎの上手いKだ。脚の一本や二本使えなくたって、
岸まで泳ぐくらいわけないはずだし、仮にKが動けなかったとしても、
傍にいた後輩2人が助けられないとも思えない。
一体、Kの身に何が起こったのだろう?

考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだった。

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湖 畔 ~ 前編 ~

湖 畔 ~ 前編 ~

湖畔1


忘れてしまいたい・・・

でも、
忘れる事のできない
過去の忌まわしい記憶。。。


あれは、高3の夏の出来事。。

高校生活最後の夏休みの思い出を作ろうと、
友人Tに誘われ、とある湖でキャンプをすることになった。

湖の周辺には民家はなく、山や緑に囲まれ、
避暑地としては最高の場所だった。

キャンプに参加したのは、僕と友人T。
Tの地元の友人Kと、その後輩が2人。

総勢、男子が5人・・・

むさ苦しいにも程がる。。。


それはそれとして、
始まってしまえば結構盛り上がるもの。

女子という歯止めのない状況の中では、
ハメの外しかたも酷いもので、
それが当然のことのように、遊泳禁止の立て看板を無視し、
Kは全裸で湖に飛び込んでいった。

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